なにかの映像が流れた後、
香りの一つ一つが煌びやかに装飾されることなく、自分の身体に入り込んでくる。それは飲料水のように馴染みが感じられる。
今まで感じていた負の感情を、すべて身体に入って巡るアールグレイがこそぎ取って流してくれる。
いつしか外は夜になって、さっきまで広げられていた3時半用のセットをテーブルの上から根こそぎひっくり返して、いつのまに乗っていた塩ラーメンが、テーブルクロスの上には相応しくない格好で佇んでいる。
綺麗な白いスープが鼻に入り込んでくるために食べてみると、時に口の中で大暴れするものがあるが、楽しい気持ちになる。
いつも食べているような、甘くてかわいいパフェや、定番の醤油ラーメン、ハンバーグ、二郎ラーメンが少し恋しくなるくらいだった。
ここまで、さらっと食べたように書いているが、アフタヌーンティーのお菓子が本当にたくさんあって、でも簡単に食えてしまう味だった。
シェフはすぐに顔を出したと思うと、この数時間の話したいことを解放するようにしばらく話していた。
最後に出てきたいくつかのデザートは、甘く、淡い味だった。口にするとすぐに溶けてしまった。
デザートのアイスの最後の一口を食べた途端、身体に衝撃が走ったのち、意識が放り出された。
目を覚ました、僕はどうやら寝落ちしてしまっていたらしい。
画面にはエンドロールが流れている。
寝ぼけ眼から自己に戻った時、ようやくわかった
映画館で眠ってしまったのは僕だけじゃなかったということに